県山協平成22年度 救急法 セルフレスキュー研修会


開催日 平成22年7月11日(日)
会  場 吉田消防署
参加者 41名
当会から、坂場(DAE)さん、田邊(OII)さん、本間さん、LTQ
講習内容
AM 救急法 心肺蘇生・AED・・・・・・・・ 講師 吉田消防署員様
PM 遭難事故例 遭難者数の分析・・・講師 県警本部地域課 玉木大二郎様

   一般登山でのロープワーク・・・・・・講師 遭難対策委員
   ザック搬送・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 講師 遭難対策委員

集合場所に集まり、DAE(坂場)さんの車に乗せて頂き、会場の吉田消防署に向かう。社会実験のため無料化となっている新潟中央ICまで高速を利用するが
気のせいか、いつもより混んでいるような印象を受ける。
一般道に入り吉田消防署に向かう。会場の吉田消防署体育館は新しくとてもキレイで立派な施設でした。

受付をすると、我々がビリ。遅刻ではないものの皆さんの集まりが早かったようである。
県山協 遭難対策委員長の井さんより、挨拶、日程説明があり講習会がはじまった。

救急法について、吉田消防署の救命救急士の講師より説明を受ける。
・ 積極的に関わること・・・心肺停止後放置すると救命率は、概ね1分あたり10%程度づつ低下していく。早く着手すること。
 優先順位・・・生命に関わる状況では、先ずすべきことを判断しなければいけない。
・ 救助者の安全・・・救助者が2次的に負傷して要救助者が増えることは避けなければならない。救助者の安全確保。
・ 頭部・頸部に損傷が疑われる場合、頭部後屈顎先拳上法は損傷部に負担になると思うが、安静保護との優先は?との
  私の質問に講師からは、優先順位をどちらにとるか?生きるか死ぬか?の状況で後遺障害を考えるべきだろうか?
  しかし、頭部・頸部の損傷が明らかで動かすことが危険であることが明確な場合は、無理に頭部後屈顎先拳上法をとらないで
   胸部圧迫のみを継続することもあり得ることだと思う。とのこと。

 救命救急士の講師から説明を頂く
 


救命救急法の手順(AEDを含む・・・登山中ではAEDの使用は現時点では現実的ではない)
@ 要救助者の発見

A 周辺の安全確認・・・危険があれば安全な場所まで安静を保ちながら移動する。
B 大量出血の有無を確認する・・・大量出血があれば止血
C 意識の確認・・・徐々に声を大きくしながら、身体を軽く叩きながら呼びかける。
D 救急車・AEDを要請

E 呼吸の確認・・・頭部後屈顎先拳上法で呼吸の有無を10秒程で確認する→呼吸停止
F 人工呼吸の開始・・・但し、吐瀉物、出血、等で感染症の危険がある場合は人工呼吸は省略可
G 胸骨圧迫(心マ)・・・乳頭間と正中線の交差ポイントを強く、1分に100回ペースで圧迫
H 胸骨圧迫と人工呼吸は30:2で繰り返し行うが人工呼吸を省略する場合は胸骨圧迫を継続する
I AEDが到着したら心肺蘇生法と並行し準備を進め、AEDの音声ガイダンスに従う
J 電気ショック後は直ぐに胸骨圧迫を継続し、AEDのガイダンスに従う
K 以上の処置を救急隊に引き継ぐか、要救助者が回復するまで続ける・・・勝手にやめない。

※ 心マは真っすぐ下に押すこと。救助者の肩の位置が要救助者の正中線に来るように。
※ 救助者が複数人いる場合、非常に疲れるので、どんどん交代すること。
※ 昔の様に脈を確認することなく、意識ナシ・自発呼吸ナシでの状態で、人工呼吸・胸骨圧迫(心マ)を開始し、AEDを装着する。
   電気ショックの要・不要はAEDが自動的に判断するので心肺蘇生を施す場合は積極的に装着まではするべき。

 心マ施術者・本間さん  AED装着はOIIさん 奥は消防署の方
 



※ 体液・血液等は感染症の原因になる可能性があるので、直接、血液・体液に接触しないように防護策を講じること。

これら@〜Jまでを展示頂きその後、専用の人形を用い参加者で実施した。

熱中症対策

大量発汗によりナトリウムが不足するので、塩分補給を忘れずに。スポーツドリンク類を少し薄めたもの等
腋窩・鼠径部下等大きな血管が比較的体表近くにある部分を冷やすことで体温を効率的に下げることが可能。

止血は直接圧迫法で対応する。

RICE
REST・ICE・COMPRESSION・ELEVATION(安静・冷却・圧迫・拳上)

午前の講義は以上で終了した。



昼食は、DAEさんご推奨のラーメン(らいらいの広東麺)を食べに行く。

お昼少し前に滑り込んで何とか待たずに座れました。県央地区のラーメンは
背油タッツプリのイメージが強いのですが、誰でも馴染みやすくスッと食べられるラーメンでした。



さて、美味しいラーメンを食べて会場に戻り午後の研修の開始です。
午後の研修は・・・
まず、県警の玉木さんから遭難事故例についてお話頂きました。
次に2班に分かれ、@「一般登山でのロープワーク」A「ザック搬送」を遭対委員の指導で研修した。

遭難事故例については、「平成21年中における山岳遭難の概況」というタイトルの警察庁の資料と、「登山目的による山岳別発生状況件数」という
県内の山岳別の遭難事故数の一覧表(新潟県内)を参照しながら県警の玉木氏より解説を頂いた。

新潟県警察本部 地域課 玉木大二郎講師
 


・ 遭難件数は昭和36年以降、日本全体では平成21年が最悪となる全国のそれと、新潟県内のそれは異なる傾向があり、9年前が件数が最多。
・ 遭難発生件数が多いのは、長野、北海道、富山の順となり以下、秋田、新潟と続くが案外、東京、神奈川、埼玉等の首都圏も多い。これは奥多摩山域
  丹沢山域、奥秩父山域を擁することによる。
・ 遭難者の年齢層40歳以上の遭難者が全体の76.8%で中でも55歳以上の遭難者が全体の60.2%を占めている。

  (登山者全体の年齢が高いことも要因なのだろうか?)
・ 単独行の遭難多発・・・単独の死亡行方不明者の増加。単独遭難者の死亡・行方不明は160人で全単独遭難者の24.0%で複数登山における死亡・行方
   不明者の割合は11.0%と比較すると約2倍となっている。
・ 遭難時の通信手段全遭難者の61.0%が遭難現場から携帯電話・アマ無線を使用しているが、携帯電話の通話エリアが限定的なので注意


ごく近年の傾向では30歳代〜40歳代の女性の登山者が増加傾向。おもに首都圏での方で富士山等での登山者が増えている。
この傾向は続くものと思われる。雑誌等の情報で山でのファッションなども豊富に紹介されている。

 登山届の提出
・ 登山届は必ずしも特定の書式は必要なく、登山用地図・ガイドブックの地図のコピーにコースをペンで記し、同行者、入山・下山の予定時刻を記載したもの
  を家人に渡しておくだけでも大きな手掛かりとなる・・・・何もないと登山口を特定するだけでも大変な時間を要することになる。


県内の山岳別の遭難者数では、特定の山に多いという印象はあまりなく、まんべんなく遭難者がでている。中には沢が絡む登山道等でやや多くの遭難者が
観られる山もあるが、どこでも起こりえるという印象である。





ひき続いて遭対委員を講師とした一般登山のロープワークを研修した。
・ クレイムハイスト

・ カラビナバッチマン(採用せず)
・ クローブヒッチ(仮固定)
・ ムンターヒッチ(確保)
・ タコ足でのトラーバース時の支点の通過
と、ざっとこんな感じ。ロープワークが苦手な本間さんはやや苦労していたが、DAEさん、OIIさんは慣れたもの。岩登りにとっては、日常的なことで
特に感想なしですが、皆さん一生懸命取り組んでおられました・・・・んが、やはり普段から使わないと忘れる。
しっかり、身につくまでは、細引きを晩酌の伴として毎日やらないと忘れます。本当です。
ボクも今でも新しい結びを覚えるときは、かなりの期間晩酌の伴とします。(笑





続いて、ザック搬送
これも、一番ベーシックな方法を研修した。講師からはこれが、正しいということはなく、研究改良して欲しい。
ザック搬送は現在も進化し続けている。とのことでした。

 もっとも、ベーシックな形です
 


判っているつもりでも咄嗟に出来ないことが多い救急法、セルフレスキュー技術は定期的・不定期に繰り返して行うことが望ましい・・・当たり前ですケド

学生の頃、プールで監視員のバイトをしていた頃、毎日ミーティングの後は人工呼吸、心マの練習を繰り返していたコトを思い出しました。
毎日、同じことをくり返し、考えることなく作業に取りかかれることが肝心だと思いました。また、現在は随分簡素化されています。
ただ、現在では心マとAEDがセットになっている様に感じました。

将来的にはヤマ小屋の管理棟にAEDが設置されるような時代になるかもしれませんし、尾根歩きの中高年対象のツアー登山ではガイドさんがAEDを
背負って行く時代が来るのかもしれませんね。




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